新型コロナ症例数、米がイタリアと中国抜き世界最多に 「ピークはこれから」

米国内で新型コロナの症例数が8万1000例を超えた/Bruce Bennett/Getty Images

2020.03.27 Fri posted at 11:11 JST

(CNN) 米国内で26日までに確認された新型コロナウイルスの症例数が8万1000例を超え、中国とイタリアを抜いて世界で最も多くなった。

26日午後の時点で確認された症例数は、米国が8万1836例、中国が8万1782例だった。世界では51万例以上が報告されている。

米国で同日死亡が報告された患者は少なくとも237人に上り、1日の死者としてはこれまでで最多だった。これで死者の総数は全米で1186人になった。

症例数の急増を受け、全米の病院が厳しい対応を強いられている。米国の症例数の半数以上を占めるニューヨーク州では、ニューヨークベルビュー病院がテントや冷凍トラックを使って仮設の遺体安置所を設置。クイーンズ地区にあるエルムハースト病院では24時間のうちに13人の患者が新型コロナウイルス感染症のため死亡した。

新型コロナウイルスの患者に対応する医師や看護師の健康状態も悪化している。同州ロングアイランドの病院に勤務する看護師は、ソーシャルメディアにこう書き込んだ。「気持ちを切り替えることができなくて眠れない。休憩時間にはトイレで泣きながら防具を汗まみれの自分からはぎ取った。顔にはマスクの痕が付いていた。帰宅する車の中でずっと泣き続けた」

患者たちは「絶え間なくせき込み、汗をかいて発熱し、目には恐怖の色が浮かんでいる」と看護師は語る。

「私は亡くなった患者のために泣き、10分の間に患者5人に挿管して涙を流す。私は恐怖に襲われている。事態がさらに悪化すると分かっているから同僚のために泣き、もう無理だと感じ、もう限界だと感じる。愛する人が死にかけているかもしれないのに、面会が許されないため一緒にいることができない親や子どもや兄弟や配偶者のために泣く」

患者が増え続ける中で、2週間以内に全米の膨大な数の病院でベッドが足りなくなるかもしれないと衛生当局者は危惧する。ルイジアナ州の衛生局長だったレベッカ・ジー氏は「ベッドが調達できなければ、患者の生命を救う手段がなくなる」と危機感を示し、「それでもこの危機はまだピークに達していない」と語った。

全米ではこれまでに21州が外出禁止令を出している。シカゴでは、湖岸に人が集まっているのが確認されたとして26日、市長が自転車道や遊歩道、緑地などを閉鎖すると発表した。

シカゴ警察は同日、外出禁止令などに違反した人を取り締まると表明した。

ニューヨーク州は必要不可欠ではないビジネスや集会などを制限し、住民に対しては屋外の活動を人と接触しない活動に限るよう要請している。指示に従わない商店などは罰金の対象とするが、個人に罰金は適用しない方針。

ロサンゼルス市も、必要不可欠ではない商店や事業所がまだ営業を続けている場合は強制措置を講じる構え。ただ、運動したり、外出したりしている人を警察が取り締まることはないとした。

今後の見通しについてハーバード大学グローバル衛生研究所の専門家は、「このような状況は、何らかの形であと12~18カ月続くだろう」と予測した。「効果的なワクチンを開発して普及させることができれば、パンデミックを終わらせることができる」「その時までは、引き続きこのウイルスに立ち向かわなければならない」

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