パリ行き列車内に武装した男、乗客らが取り押さえ 3人負傷

アムステルダム発パリ行きの高速列車内で発砲事件

2015.08.22 Sat posted at 09:42 JST

(CNN) オランダ・アムステルダム発パリ行きの高速鉄道車内で21日、ライフル銃や刃物などで武装した男が乗客らを襲い、当局によると、3人が負傷した。男は居合わせた米兵らに取り押さえられた。

事件があったのは国際特急列車タリスの車内で、列車はベルギーを走行中だった。取り押さえには米空軍隊員や州兵、民間人が関与した。欧州テロ対策当局は当初、米海兵隊員が男を取り押さえたと述べていた。

取り押さえに参加した一人、アンソニー・サドラー氏はCNNの取材に対し、男はトイレから上半身裸の格好で、自動小銃AK―47を肩から下げた状態で出てきたと説明。友人のアレック・スカラトス氏が「やつを捕まえろ」と叫ぶと、もう1人の友人、スペンサー・ストーン氏がスカラトス氏に続き男に突撃。サドラー氏も含めた3人で男をたたき、スカラトス氏が男からライフル銃を奪ったという。

その際スペンサー氏はカッターナイフで切りつけられ、頭や首などに多数の傷を負った。親指は切断寸前だったという。

サドラー氏は別の乗客の助けも借りて男を縛り上げた。また、のどを切られた男性に気が付き、スペンサー氏が止血の処置を行ったという。

当局によると、男はカッターナイフのほか複数の刃物も所持していた。

列車は行き先を変更し、パリ北方185キロのアラス市に向かった。

男が発砲し3人が負傷、男は海兵隊員に取り押さえられた=Freedom Films LLC / Christina Cathleen Coons

アラス市の広報担当者によれば、負傷者のうち2人は重傷だが命に別条はない。このうち1人は米国人。また、フランスの俳優ジャン・ユーグ・アングラード氏が手に軽傷を負ったとした。

当局者によれば、男はモロッコ国籍。イスラム過激思想を持っているとみて欧州テロ対策当局が動向を注視していたという。別の治安筋はこの男について、フランスの情報機関に知られた存在であり、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に共感していたようだとしている。ただ、具体的にどの組織に忠誠を誓っていたのかは不明。

当局者によれば、男は多くの弾薬を持っていた。無差別殺傷が食い止められた形であり、公式には発表されていないもののテロ行為の疑いがあるとしている。

ベルギーのミシェル首相は短文投稿サイトのツイッターで「テロ攻撃を非難する」と述べ、被害者への同情を示した。フランスのカズヌーブ内相は、「野蛮な暴力攻撃」として事件を非難し、パリの対テロ検察当局が捜査に着手する見通しだと述べた。海兵隊員の助力に対して「感謝と称賛」を表明している。

米国防総省の報道官はCNNに対し、「報道を把握しており、現時点では米軍の兵士1人が事件で負傷したことのみ確認している。命に別条はない」と述べた上で、引き続き状況を注視する姿勢を示した。

仏列車内で男が発砲、3人負傷 米海兵隊員が取り押さえ

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