中国原潜が台湾海峡を浮上航行か、不測の事態のリスク浮き彫りに

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専門家が分析した台湾海峡の衛星画像。左側下方の艦船が浮上した中国軍の原潜だという/Sentinel

専門家が分析した台湾海峡の衛星画像。左側下方の艦船が浮上した中国軍の原潜だという/Sentinel

香港(CNN) 中国の潜水艦とみられる艦船が台湾海峡に不意に出現したとの情報が浮上し、この狭い海域に軍艦が頻繁に展開することの危険性が浮き彫りになっている。アナリストからは、意図せぬ紛争を引き起こす可能性に警鐘を鳴らす声も上がる。

潜水艦の専門家H・I・サットン氏は先月29日のブログで、欧州のオープンソース衛星画像サービス「センチネル2号」の画像に写った艦船に言及。中国の094型弾道ミサイル原子力潜水艦との見方を示した。

同潜水艦は台湾と中国本土を隔てる海域を浮上航行しているとみられるところを発見された。アナリストの多くは、この海域での紛争は偶発的な衝突をきっかけに始まる可能性が高いと指摘する。狭い空間に軍艦が集まればその分、事故が起きる可能性は高まる。

同潜水艦が台湾海峡に展開したとみられる理由は不明だが、サットン氏は通常の任務だった可能性が高いと指摘。修理かメンテナンスのため渤海にある人民解放軍(PLA)海軍の港湾に向かっていた可能性があるとしている。

ただ、衛星画像を見た他の専門家からは、弾道ミサイル原潜が水面に姿を現したとみられる状況に困惑する声も上がる。

米海軍の元大佐で、米太平洋軍統合情報センターの作戦責任者を務めたこともあるカール・シュスター氏は「弾道ミサイル原潜の浮上航行はほぼ前代未聞だ」と述べ、「大規模造船所での調査や修理が必要な艦体もしくは技術上の問題を示唆している可能性がある」との見方を示した。

台湾海峡は最も狭い場所では幅180キロしかなく、中国が台湾への圧力を強めるなか、世界でも特に軍事的緊張の高い場所となっている。中国の習近平(シーチンピン)国家主席は台湾を支配下に収める考えを言明。これに対し、米国を含め台湾政府を支持する国はこの地域での軍事的プレゼンスを強化している。

海での衝突の可能性が浮き彫りになったのは今年10月のことだ。米太平洋艦隊によると、米海軍の攻撃型原潜「コネティカット」は南シナ海で海山に衝突した。事故後、コネティカットは浮上航行しながら何とかグアムの米海軍基地にたどり着いた。

今回発見された中国潜水艦が事故に遭った形跡はないものの、シュスター氏は「興味深いミステリーだ」と言及。最近の米海軍などと同じく、PLAは単に台湾海峡で示威行為を行っていた可能性もあるとも指摘した。

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