「国連改革は待ったなし」 安倍首相が寄稿

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安倍晋三首相

安倍晋三首相

(CNN) 「今日世界が遭遇している不安と緊張の性質が如何なるものであろうとも、又その原因が如何なるものであろうとも、世界80カ国の組織する国際連合の力によって、平和的に処理し得ない問題はあり得ないと信じます」 。60年前、日本が国際連合に加盟したその日に、当時外務大臣だった重光葵が述べた言葉である。本年の国連総会を目前に控える中、この言葉は1956年当時と同様、真実である。

国連は、創立後の70年余り、冷戦下の国際社会の対立を乗り越え、さまざまの地域紛争を解決してきた。今や、先進国・途上国の違いもなく、人々の往来は活発化し、貿易投資の自由化、情報通信技術の飛躍的進歩を享受し、多くの人々の生活を豊かにしている。

以来60年、日本は、国連を支える、太い柱であり続けている。日本が世界第2位の財政貢献国として国連に対し行ってきた貢献の大きさはその一つの証し。国際社会の安定と平和のためには、加盟以来60年にわたり、3300億ドル(約33兆円)を超える政府開発援助(ODA)を実施し、途上国からの研修員の受け入れ数は56万人に、日本からの専門家やボランティアの派遣は19万人に達している。これらが如何に効果を上げたかは、今日、世界の成長センターに発展しているアジア諸国を見れば論をまたないであろう。平和貢献の面でも、カンボジアや東ティモールの国連平和維持活動(PKO)への要員派遣、そして、その後長年にわたる国づくり支援に尽力した。

しかし、現在の世界は、国連発足当時とは大きく変化した。同時に、このような国際社会のボーダーレス化の進展は、人類に新たな難題をも突きつけており、国連が果たすべき役割もそれに応じて変化、進歩が求められる。急増するグローバルな危機を解決するため、国際社会は、「ディバイデッド(divided)」ではなく、ますます「ユナイテッド(united)」でなければならない。カギとなるのは、時代遅れの国際社会における「縦割り(サイロ・アプローチ)の打破」である。国際社会が直面する課題は、1つの国境の内側にも、また、1つの分野にも収まりきらない。難民問題に例をとると、問題は地理的・政治的に広がり、かつ長期化しており、根源にまでさかのぼった解決策が求められる。目前の困窮から救う支援のみならず、彼らが自らの手で未来を切り開く力を携えて故郷に戻ることができるよう、教育や職業訓練を含む支援も必要である。そこでは、人道と開発支援の連携が一層重要性を増している。

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