米の人身売買報告書、政治介入疑う声も

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各国の人身売買の現状を格付けした図。米政権の都合も評価に反映か=米国務省

各国の人身売買の現状を格付けした図。米政権の都合も評価に反映か=米国務省

(CNN) 米国務省がこのほど、世界188カ国の人身売買の実態に関する年次報告書を発表した。キューバ、ケニア、サウジアラビアなどは状況が改善したと認定して格付けを引き上げる一方で、エジプト、ガーナ、ブルガリアなどの評価は格下げした。

国務省のケリー長官は同報告書について、人身売買業界と闘う活動を支援するものと位置付ける。しかし人権団体などからは、政治の介入を疑う声も出ている。

例えば4段階で最低の格付けだったマレーシアは1段階引き上げられた一方で、タイは最低評価のまま据え置かれた。両国ともミャンマーを脱出したイスラム系民族ロヒンギャ族の人身売買ルートの一端を担っており、マレーシアでは今年、人身売買の被害者と見られる大量の遺体が埋められているのが見つかっている。

人権団体はこうした格付けの背景として、マレーシアは環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に参加していると指摘する。米貿易促進権限法には、最低評価の国と協定を結ぶことを禁じた条項がある。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの幹部はマレーシアの状況について、「移民が人身売買されて虐待され、国境付近でロヒンギャ族の被害者の遺体が見つかっているのに、摘発件数は年々減っている。国務省はなぜこれを改善と呼べるのか」と批判。「今回の格上げは、人身売買と闘うマレーシアの対応ではなく、TPPと米国の貿易政策によるものだ」との見方を示した。

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