低所得層が投票しない理由 米選挙を考える

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2012年の選挙では登録上の問題で120万票が失われたとの推計も

2012年の選挙では登録上の問題で120万票が失われたとの推計も

大半の州では無料でIDを取得できる選択肢を設けているが、このために要求されるパスポートや出生証明書などの書類も取得に費用がかかるのが普通だ。有権者ID法が防止するとしている、なりすまし投票はごく少数であり、コストに見合わず、市民権の観点からも望ましくないとの指摘が多い。

連邦裁判所はこのほど、米国内でも最高度に厳格なテキサス州の有権者ID法について、ヒスパニックや黒人の有権者に対し差別的な影響を及ぼしており、投票権法違反だとする判決を下した。

そもそも低所得層に有権者登録するよう促すことも課題だ。12年の選挙では、18歳以上で年収2万ドル以下の米国民1430万人のうち、890万人しか有権者登録をしていなかった。

理由の一端として、貧困ライン以下で生活する人々は引っ越しの頻度が多く、有権者登録に際しての書類作業が煩雑になっていることが挙げられるだろう。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究によると、登録上の問題により12年、120万票が失われたと推定されている。こうした人々は投票所に出向いたものの、登録に関する問題が原因で投票できなかった。有権者全体では1%以下に過ぎないが、それでも人数としては多い。

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