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なぜ、ブロックチェーンのマンガのネコにコレクターは大金を払うのか

COURTESY CRYPTOKITTIES

最近まで世界で最も高価な猫は、4万1435ドル(約450万円)の値が付いた「Cato」という名のベンガル猫と考えられていた。しかし、それは「クリプトキティーズ」が登場する前の話だ。クリプトキティーズはブロックチェーン上の仮想の猫で、暗号通貨での購入や取引が可能だ。

クリプトキティーにはそれぞれ個性があり、全てのクリプトキティーはビットコインのような人気の仮想通貨イーサリアムのブロックチェーン上に保存されている。クリプトキティーは、2017年12月に11万707ドル(約1200万円)相当で売れた。

仮想の猫に大金をつぎ込むことに違和感を覚える人もいるだろうが、ポケモンのカードに約5万5000ドル(約600万円)をつぎ込むよりはましかもしれない。

収集家がレアなおもちゃや漫画本や美術品に大金をつぎ込むように、デジタルの世界でも希少性のある物には価値が出ることをクリプトキティーズは示している。分散型台帳技術と言われるブロックチェーンが、これは世界に1匹しかいない仮想猫だと言えば、どんなに高くても買いたいと思うかもしれない。

クリプトキティーズはそれぞれ独自の256ビットのDNAを持っている=クリプトキティーズ
クリプトキティーズはそれぞれ独自の256ビットのDNAを持っている=クリプトキティーズ

ビットコインなど、ブロックチェーン技術に基づく暗号通貨は、2017年に価格、人気ともに急上昇し、一時はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。このブロックチェーンという魅力ある技術が今後どうなるかは誰にも分からないが、この技術が各分野の先見の明のある人々の想像力をかき立てている。

未来の芸術?

ロンドンのアーティスト・コミュニティー「ファーザーフィールド」主催の展示会「ニュー・ワールド・オーダー」に展示された「プラントイド」は、高さ90センチほどの花の形をしたメタルアートで、花の中心部には色とりどりの電球が光る。

プラントイドは「自立型」の芸術品で、イーサリアム上で実行される「スマートコントラクト」と呼ばれるプログラムで管理されている。プラントイドは自ら暗号通貨を保有し、与えられた「指示」に従ってその通貨を使う。

Plantoid, by Primavera De Filippi of OKhaos

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その指示の内容は、「種類を問わず、取得したお金を使って新たなプラントイドを作れる芸術家を雇え」というものだ。そのようにして、プラントイドは本物の植物のように繁殖する。例えば、誰かがプラントイドにいくらかのビットコインを与え、プラントイドのウォレットに十分な資金が貯まると、プラントイドは新たなプラントイドを制作する芸術家を募集する。資金の提供者は、どの芸術家のデザインが最も優れているかを決める投票に参加できる。

プラントイドは、投票で選ばれた芸術家にビットコインを送金し、その芸術家が次のプラントイドの制作を担う。またプラントイドは最初にそのプラントイドを制作した芸術家にも少額の金を送る。それが、芸術家たちが最も美しいプラントイドを作るインセンティブになる。そして次のプラントイドも同じプロセスを開始する。

プラントイドも、スマートコントラクトと密接に結びついていなかったら単なる「きれいで珍しい物」で終わっていただろう。スマートコントラクトは、一度ブロックチェーン上で実行されると、人間の所有者とは無関係に動作する。大半の芸術家と同様、プラントイドも資金提供者からの資金は必要だが、それ以外は完全に自立している。プラントイドは、今や可能となったデジタル世界における新しい形の自立、価値、進化を示すものといえそうだ。

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