6つの図で見るシリア情勢

>> 図で見る「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」勢力範囲

シリア情勢が混迷の度合いを深めつつある。ロシアは9月下旬、武装勢力に対する空爆をシリアで開始した。米国が主導する連合軍も2014年9月からほぼ毎日、シリア国内における過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の拠点壊滅を目指して空爆を実施している。

内戦状態にあるシリアでは11年以降、25万人以上の死者が出ているが、ロシア軍の介入で、情勢はますます不透明となった。

ロシア軍の介入について6つの図で説明する。

ロシア軍はシリア西部に展開

ロシアのプーチン大統領は数週間にわたり、シリア各地に装備や人員を空輸し、空爆の準備を進めてきた。輸送先は特に地中海側で、ラタキアの空港や、ロシア軍の海軍基地のあるタルトゥース、首都ダマスカスが含まれる。

米ワシントンのシンクタンク「戦争研究所(ISW)」によれば、ロシアは現在、シリア国内の7カ所に展開している。

ロシアはISISと戦っていると主張 米国は否定

ロシア側は、ISISや「他の過激派組織」と戦うと説明しているが、9月下旬に行われた空爆の標的の多くは、ISISの拠点付近から何時間も離れたと見られる場所だった。米国をはじめ、英国、トルコ、フランス、ドイツ、カタール、サウジアラビアが参加する連合軍はロシアがISISではなくシリアの反体制派や民間人を攻撃しているとして非難した。

ロシアの介入はISISのためだけではない

プーチン大統領による介入は過激派に対する空爆だけではない。ロシアはシリアに経済的・軍事的利益を持っており、政権交代でそれらを失う可能性がある。そのためロシアはこの地域における重要な同盟国であるシリアのアサド政権を守ろうとしている。

専門家によれば、ロシアはまた、従来からあるタルトゥースの海軍基地を強化している。同基地は地中海への戦略的なアクセスを提供している。

そして、プーチン大統領はシリア全体に戦闘機を展開しており、このことが、トルコやイラク、ヨルダン、イスラエルなど同地域における軍事的影響力の拡大につながりそうだ。トルコへはロシアの戦闘機は数分以内に到達できるようになる。

「大砲」の登場には懐疑的な見方も

before
after

過去数週間に撮影された衛星写真によれば、新鋭のスホイ30戦闘機やT90戦車をはじめ、輸送や戦闘用のヘリコプター、戦闘車両がシリア軍基地に登場した。

国際軍事情報企業IHSジェーンズのインテリジェンス・レビューによれば、写真には30機近い戦闘機が写っている。

新鋭機の流入を受けて、一部の専門家からは、ロシアが実際にシリアで誰を標的としているのかについて疑問の声もあがっている。

ニュースサイト「デーリー・ビースト」は、武器の多くはISISと戦うのに適しているようには見えず、米国などの敵対国と戦うための準備をしているとの見方を伝えた。

米国のケリー国務長官も数週間前に同様の警告を発している。ケリー長官はCNNの取材に対し、空対空の能力を持つ戦闘機や地対空ミサイルの存在は深刻な疑問を生じさせると語っていた。

一方で、米国は反体制派の訓練を中止に

米国は穏健な反体制派を訓練するプログラムの中止を明らかにした。目標は毎年3000~5000人の戦闘員を訓練することだった。これまでに米国が訓練した戦闘員の数は推計75人。一部はシリアに入国すると同時に誘拐されるなどしている。

米政府によれば、100カ国から集まった2万8000人の外国人戦闘員がシリアとイラクでISISとともに戦っている。これは、2014年と比較するとほぼ2倍の数字だ。

今では250人以上の米国人がISISとともに戦っている。半数以上が過去1年間に米国を出国している。

ISISとの戦闘に成果、すくなくとも支配地域については

1年にわたる米軍らによる空爆にもかかわらず、ISISはシリアのラッカやイラクのモスルといった重要拠点から撤退していない。ISISはまた、パルミラやラマディも占拠したままだ。

しかし、成果が現れたようにも見える。IHSジェーンズによれば、2015年1~6月にISISの支配地域は9.4%減少した。