ウクライナから大戦中に盗まれた絵画、米民家で発見 美術館に返却へ

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ウクライナから盗まれたことが判明した油絵。持ち主は美術館へ返却することを決めたという/U.S. Attorney's Office

ウクライナから盗まれたことが判明した油絵。持ち主は美術館へ返却することを決めたという/U.S. Attorney's Office

(CNN) 自宅に飾られていた油絵の大作を処分しようとしたら、実は第2次世界大戦中にウクライナの美術館から盗まれた作品だった――。米コネティカット州の老夫婦が、意外な事実に直面している。

デービッド・トレーシーさんは1987年、コネティカット州リッジフィールドで家を購入した。高さ2.1メートル、幅2.4メートルの大きな油絵は、この家に最初からあったという。

ロシアの暴君として知られるイワン4世がうなだれて馬に乗り、側近らと別の場所へ移動しようと、密かに旅立つ場面が描かれている。

デービッドさんは、不動産業者としてこの家の売買を仲介したギャビーさんと数年後に結婚し、別の家へ引っ越した。この大作が気に入っていたので、新たな家に巨額の工事費をかけ、専用の展示スペースを設けて持ち込んだ。

やがて夫妻はメーン州で引退生活を送るため、家を売ろうと決意する。長年親しんだこの作品も処分しようと、競売業者に依頼した。するとウクライナのドニプロペトロウシク美術館から業者に連絡が入り、競売の中止を要請されたという。

米ワシントンの連邦検察によれば、これは1911年にミハイル・パニンという画家が描いた作品だが、戦時中に同美術館から盗まれたきり所在が分からなくなっていた。

当局の調べによると、作品が置いてあったコネティカット州の家にはもともと、47年に米国へ移住したスイス軍出身の男性が住んでいた。さらに1962年、作品は家ごと次のオーナーの手に渡る。オーナーのカップルはその後、作品を置いたままアリゾナ州へ引っ越した。スイス人男性は1986年に亡くなり、子孫もいないという。

連邦当局から作品の話を聞かされたトレーシー夫妻は最初こそ驚いたものの、「正しいことをしよう」と考え、美術館への返却を決めた。

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