アメリカ杯、初優勝狙う英ランドローバー・BAR 躍進支える自動車技術
英ケンブリッジ大学と米ハーバード大学を卒業したホップカーク氏は、下馬評を覆す術をよく知っている。
同氏は2007年、英マクラーレンのフォーミュラワン(F1)チームに所属してピットレーンで戦略担当を務めていた。一緒にチームを組んでいたのはルイス・ハミルトンという名の若手ドライバーだった。ハミルトンは翌年、23歳で当時としては最年少のF1年間王者になった。
ホップカーク氏は現在、ランドローバー・BARで25人のチームを統括。ウイングセール(硬質帆)がそびえる未来的なカタマラン(双胴艇)の走りの予測を試みている。
同氏はレーシングカーとボートの間には多くの共通点が存在すると指摘。「どちらの場合も、核となる物理法則と自分がデザインしているものの挙動を理解することが必要だ」と説明する。
同氏は、チーム内の幅広い分野にまたがる技術専門家らの間で緊密な協力関係が築かれていることに強い印象を受けている。
「お互いのやり取りの水準はF1で自分が経験したものよりもはるかに上だ。こうしたチーム内のやり取りがこの仕事のだいご味の一つだ」
エインズリー氏が英自動車メーカー、ジャガー・ランドローバーと提携関係を結んでいるおかげで、チームはWSに使用された全長45フィート(約13.7メートル)のカタマランを開発するにあたり、自動車用の技術を使うことが可能になった。