ファイザー製ワクチンで獲得した免疫、低下している? 米医師は「心配しないで」

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ファイザー製ワクチンにみられるという獲得免疫の低下。実際どれほど問題なのか/Ben Hasty/Reading Eagle/Getty Images

ファイザー製ワクチンにみられるという獲得免疫の低下。実際どれほど問題なのか/Ben Hasty/Reading Eagle/Getty Images

(CNN) 今や疑いの余地はほとんどない。ファイザー製新型コロナウイルスワクチンの2回接種を受けてからわずか数カ月後、人々の免疫は低下し始めている。実世界か実験室か、米国内か米国外かを問わず、相次ぐ研究でそれが示されている。

ワクチンを2回接種すると、重症化リスクを90%以上減らす強力な免疫反応が生じるものの、より軽い症状や無症状の感染に対する予防効果は徐々に低下する。

そのため、ファイザーは米食品医薬品局(FDA)に対し、ワクチン接種から6カ月経過した65歳以上の人などを対象とした追加接種の許可を申請し取得した。

だが、他の人も追加接種を求めるべきなのだろうか。一体、どの程度心配すべきなのか。

「私たちは免疫が時間の経過とともに徐々に低下することを予期していると思うが、それはパニックに陥る理由にはならない」。こう話すのは、米ロチェスター大学医学部に所属するウイルス性呼吸器疾患の専門家、アン・フォルシー氏だ。

フォルシー氏は「ある日突然、ワクチン接種前のように完全に感染しやすい状態になるわけではない」とも語った。同氏は新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)に関与している。

「ファイザー、モデルナ、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のワクチンはいずれも、重篤な症状に対して非常に高い効果を発揮している」とフォルシー氏は指摘。

そのうえで、「より重篤な症状を防ぐために追加接種が必要になる可能性がない訳ではない。だが、ブレークスルー感染(ワクチン接種後の感染)の半数超は風邪、もしかしたらインフルエンザのような症状であり、以前に私たちが直面していたような恐ろしい病気ではない」と付け加えた。

「従ってパニックにならないで、というのが私の主なメッセージだ。あなたは大丈夫」(フォルシー氏)

ただ、米国人がこぞって追加接種を受ける状況には歯止めがかかっていない。先週には、追加接種を受ける人の数が1回目の接種を受ける人の数を上回り、8日までに、700万人以上が追加接種もしくは3回目の接種を受けた。3回目の接種は、最初の2回の接種で十分な反応が得られなかった可能性が高い免疫不全状態の人を対象に認められている。

ファイザー製ワクチンをめぐっては先週、接種で獲得した免疫が低下することを示す研究が新たに2つ発表された。

イスラエルで行われた1つ目の研究は医療従事者4800人を対象にしたもので、ワクチンの2回接種後に抗体レベルが急速に低下することが示された。特に男性や65歳以上の人、免疫不全状態の人でこの傾向が顕著だった。

カタールで行われた2つ目の研究では、ファイザー製ワクチンの防御効果は接種後1カ月でピークに達し、その後低下し始めることが示された。

それでは、重篤な症状に対する防御効果は強いままである一方、軽症や無症状の感染に対する防御効果が薄れるという状態はどのようにして起きるのだろうか。

その理由は、人間の免疫系が複雑なことによる。

抗体は1次防衛線を形成し、ウイルスが体内の一部の細胞に侵入するのを防ぐ。この防御効果は一定時間が経過すると薄れ始める。

だが、人体には2次防衛線として、細胞に基づく免疫も存在する。B細胞やT細胞と呼ばれる細胞は抗体よりも生成に時間がかかるが、より長持ちする広範な防御を提供し、重症例を減少させる役割を担う。

従って、ワクチン接種後も人々が軽度の症状になる可能性はあるが、重症化して入院したり、死亡したりする可能性は低い。

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