モアイ像が物語るイースター島の知られざる歴史、新説発表

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イースター島に並ぶモアイ像/Dale Simpson Jr/University of Queensland

イースター島に並ぶモアイ像/Dale Simpson Jr/University of Queensland

(CNN) 巨大石像「モアイ像」で知られる最果ての島、イースター島。かつてこの島に住んでいた先住民は、内部の抗争や天然資源の枯渇によって自らの社会を自滅させたというのが長年の定説だった。

しかしその定説とは全く異なる説が、13日の学術誌に発表された。石像の製作に使われた石器を調べた結果、同島の先住民は高度かつ協調的な社会を形成していたことが分かったとしている。

論文の筆頭筆者でオーストラリア・クイーンズランド大学の研究者デール・シンプソン氏は、「イースター島の競争と崩壊に関する説は誇張だった可能性がある」と述べ、「石像彫刻産業は、家庭や工芸団体の間の協力関係を裏付ける確固たる証拠」だと指摘する。

イースター島は南米のチリから約3700キロの距離にある。ポリネシア系の先住民は、900年ほど前に現地の言葉でラパ・ヌイと呼ばれるこの島にたどり着いた。

やがて島の人口は数千人に膨れ上がり、ラパ・ヌイの重要な祖先を表すモアイ像を建造した。像は1000体近く存在していたが、多くは時の経過とともに地中に埋まった。像の高さは最も大きいもので20メートルを超す。

その大きさや数の多さは、複雑で高度な社会が形成されていた証しだとシンプソン氏は解説。「古代のラパ・ヌイには首長や聖職者、漁業や農業、モアイ製造のギルドがあった。1000体近い像をつくるためには一定レベルの高度な組織が必要だった」と指摘する。

研究チームは近年発掘された像4体と、像の製作に使われた火山岩の玄武岩石器について詳しく調べた。発掘作業では1600個ほどの石器が見つかり、このうち17個の断片については化学分析や質量分析を行った。

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