原油価格の下落、世界最大の産油国・米国に打撃か

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米テキサス州でシェール層からの資源採掘に携わる作業員/Michael S. Williamson/The Washington Post via Getty Images

米テキサス州でシェール層からの資源採掘に携わる作業員/Michael S. Williamson/The Washington Post via Getty Images

ニューヨーク(CNN Business) シェール革命による原油や天然ガスの増産が進み世界最大の産油国となった米国にとって、最近の原油価格の下落は以前に起きた原油価格の急落時よりも経済にとってより大きな打撃となる可能性がある。

米金融大手モルガン・スタンレーは、原油価格が低水準にとどまると、1~3月期の国内総生産(GDP)に対して0.15~0.35パーセントポイントの下押し圧力となるとの試算を発表した。ガソリン価格が下がったことで得られた貯金についても消費者が使わないとの懸念を示している。

ムーディーズ・アナリティクスによれば、原油価格の下落はかつて米経済にとって明確な好材料だったが、いまでは「せいぜい、さざ波程度」だという。運転手や航空会社などは原油価格の大幅な下落の恩恵を受けるものの、石油業界では経営破綻(はたん)や債務不履行、雇用の減少などが起こり、他の業界にも影響が出る可能性が高いという。

また、これまで懸念されていたのは原油価格の下落ではなく上昇だった。第2次世界大戦以降の景気後退はいずれも原油価格が高騰したことでもたらされた。

トランプ大統領はツイッターへの投稿で、原油価格の下落は米国にとって良いことと述べた。しかし、専門家からは懸念する声も出ている。

キャピタル・エコノミクスによれば、原油価格の下落が米経済に与える打撃はより早く感じられるほか、ガソリン価格の下落によって消費に回される支出による押し上げよりも大きなものとなる可能性がある。人々が在宅や自宅の近くで仕事をするならば、いずれにせよガソリンの消費は多くなく、そのためガソリン価格の減少もたいして助けにならない可能性があるという。

石油産業の雇用数は2019年は約150万人だった。ガソリンスタンドでの雇用が94万5000人。石油やガスの採掘をはじめ、その支援やパイプラインの運営といった分野の雇用が47万1000人。製油所の雇用は6万9000人にのぼる。

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