飲酒運転疑われた男性、「腸発酵症候群」だった 体内でアルコール醸造

飲酒運転の疑いをかけられた男性だったが、検査の結果、体内でアルコールが醸造される「腸発酵症候群」と診断された/Justin Sullivan/Getty Images North America/Getty Images

2019.10.28 Mon posted at 13:10 JST

(CNN) 米ノースカロライナ州で飲酒運転の疑いがあるとして警察に車を停められた男性が、体内でアルコールが醸造される「ビール自動醸造症候群(ABS、別名「腸発酵症候群」)と診断された。

男性は一貫して飲酒を否定し続けていたが、当初、警察はその言葉を信じなかった。

男性は当時40代後半で、呼気検査を拒んだために病院へ連れて行かれ、検査の結果、血中から0.2%のアルコールが検出された。これは許容量の約2.5倍、1時間にアルコール飲料10杯を飲んだ量に匹敵する。

男性は絶対にアルコール飲料は飲んでいないと言い張ったが、医師にも信じてもらえなかった。

しかし米リッチモンド大学医療センターが調べた結果、男性の言葉は本当だったことが分かった。男性はビールもカクテルも飲んでいなかったにもかかわらず、消化器官の中に酵母が存在していて、その作用で食品の糖分からアルコールがつくられていた。

つまり、体内でビールを醸造していたような状態だった。

研究チームは消化器病学会誌にこの症例を発表した。

腸発酵症候群は、消化管に酵母があって、摂取した食品の糖分から体内でアルコールがつくられる症例。この作用は一般的に、胃と小腸の一部で構成される胃腸管の中で起きる。

研究チームは、男性が数年前に服用していた抗生剤が原因で腸内細菌に変化が起き、消化管の中でイースト菌が生成されるようになったと推測する。

男性は腸内細菌の正常化を助ける抗真菌療法やプロバイオティクス療法を受けた結果、およそ1年半後には症状が出なくなり、元通りの食生活に戻ることができた。

腸発酵症候群は日本で1970年代に20~30の症例が報告され、およそ10年後に米国で初めての症例が報告された。

飲酒運転疑われた男性、「腸発酵症候群」だった

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